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ビッグガイ

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 根深ネギの生産は、白くやわらかい葉鞘部の長さを30cm以上確保するため、5~6回の土寄せ作業を行うなど多くの労力を必要とします。また、栽培期間も長期におよぶため、病害虫や気象災害の影響を受けやすく、収量や品質の低下が起こりやすいことも問題となっています。一方、消費者のニーズも多様化しており、持ち運びや収納が容易で、少人数でも消費しやすい小型のネギや、やわらかく食味のよいネギを求める声が感じられまするそこで、短い軟白で収穫することにより、短期・省力的に栽培でき、消費者のニーズに応じたコンパクトでかつやわらかく良食味を有する新しいタイプのネギの開発に取り組み、育成された新品種「ふゆわらべ」についてご紹介します。

特性

下仁田と九条ネギの特性をとりこむ

農研機構野菜茶業研究所では、2000年から従来の根深ネギ用品種よりも葉が短く、そのかわり早期収穫が可能になるように葉鞘の肥大の早い短葉性ネギの品種開発を進めてきました。『コンパクトで扱いやすく、軟白部だけでなく緑葉部までもおいしく食べられるネギ』をコンセプトに、食味についても差別化が可能となるような、やわらかく、辛みが少ない品種を目標としました。育種の過程では、葉が短く太い下仁田系品種と辛みが少なくやわらかい葉ネギ用の九条系品種が自然交雑した素材を用い、これに根深ネギ品種から選抜した短葉の系統を交配し、数年をかけて目的とする系統を選抜しました。冬どり栽培に適し、小さくかわいいネギというイメージから「ふゆわらべ」と命名し、2009年に品種登録出願、2015年よりタキイでの販売となりました。

ふゆわらべ」の特長

従来の根深ネギ品種と比べると、「ふゆわらべ」は葉が短く、太い独特の形状を有します(写真1、第1表)。夏まき冬どり栽培に最も適し、この作型では栽培期間が従来品種より2ヵ月ほど短くなります(図)。
 葉鞘部が短いため、通常の根深ネギと比べ土寄せ回数がおよそ半分で済み、省力的な栽培ができます。培土量が少ないことから、通常栽培より畝間を短くでき、単位面積当たりの栽植株数を増やすことも可能になります。さらに、植え付け位置が通常の溝植えより浅く、平床栽培にも適していますので、湿害が起きにくくなります。
「ふゆわらべ」は、葉見部および葉鞘部ともに辛み程度の指標であるピルビン酸生成量が「下仁田」や一般的な根深ネギよりも低く、食感のかたさ、すじっぽさの指標である破断強度も低い値であることから、辛みが少なく、やわらかいという食味としての特長をもっています(第2表)。そのため、生でも食べやすく、白髪ネギや薬味などへの利用に適します。また緑葉部もやわらかく、さまざまな調理に利用可能です

短いネギから付加価値を ~活用面と留意点~

ふゆわらべ」の特性は、おおむね全国で安定して発揮されることが確認されています。栽培時期は、関東以南では6~7月に幡種し、定植後2回程度の土寄せを行い、12月~2月に葉鞘長20~25cmに達した時点で収穫します。 従来の根深ネギ用品種を同期間に栽培した場合では、太りが不十分で本来の収穫適期に達しませんが、「ふゆわらべ」では葉鞘の肥大が旺盛なため、総収量としても多くなります(第1表)。栽培期間が短く、土寄せ回数も少ないため、高齢者や小規模産地でも取り組みやすい品種です。根深ネギでは最も一般的な春まき秋冬どり作型において、定植後の高温多湿期に病害や湿害、生育停滞が生じやすく、収量低下が問題となっていますが、「ふゆわらべ」を利用した夏まき栽培を行うと、これらの被害を回避することにより、短期間に高品質の収穫物が得られることも利点の一つです。このように「ふゆわらべ」は、柔軟な作付け体系をとることが可能で、生産のリスクを低減させ、安定した栽培に役立ちます。
 なお「ふゆわらべ」は秋冬どりに適した品種で、抽苔は比較的早く、高温期は品質低下が著しいため、春から夏の生産には向きません。また、肥大が旺盛なので、収穫が遅れると葉身や葉鞘部が裂けやすく、分けつ株の発生もみられることがあるので、必要以上に株間を広げないように注意が必要です。
 その特徴的な形状を生かし、40cm程度の長さのコンパクトサイズのネギを調製することにより(写真2)、買い物袋にもかさばらずに収まり、冷蔵庫にもそのまま収納でき、少人数でも使い切れる商品として新しい付加価値を訴求することができます。クン念は、コンビニエンスストアでの野菜の販売や食材の宅配サービスなど、野菜を扱う業態にも変化が現れており、こうした新たな販路の可能性も広がっていると思われます。すでに全国で試作が行われており(写真3)、おいしさ、手軽さを生かし、用途や調理法まで提案して新たな市場形成にむけた販売が試みられています。






ふゆわらべ
買い物かごにすっぽり入る、省力栽培可能で食味の良い短葉性白ネギ!

●下仁田と九条ネギの特性をとりこむ
●従来の根深ネギ品種と比べると、葉が短く、太い独特の形状
●夏まき冬どり栽培に最も適し、栽培期間が従来品種より2ヵ月ほど短い
●辛みが少なく、やわらかい食味

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