国内の冬どりレタスではビニールなどの被覆資材を利用した栽培が行われていますが、安定した環境の確保は難しく玉肥大が不足しやすい作型です。また、ビッグベイン病が発生している産地では、生育抑制や結球不良、収穫期の遅延などさらに収量低下が問題となっています。このような状況から冬どりレタスは慢性的に収量不足の状況が続いています。
タキイでは冬どりレタスの生産安定や収量性向上を目標に品種開発を行っており、ビッグベイン耐病性品種を中心に育成を勧めてきました。年内~冬どりの作型で「シスコビバ」「ウィンレー」を発売していますが、この度、より収量性が求められる冬~厳寒期どりの作型で、玉肥大がよく秀品率の高いビッグベイン耐病性品種「ビックガイ」を新発表いたします。
品種特製と適作型および栽培のポイントや品種の使い分けについて解説しますので、品種導入の参考にしてください。
●ビッグベイン病に強く玉肥大のよい冬~厳寒期どり種
生育は旺盛で、低温期の玉肥大と玉尻形状が安定した品種です。ビッグベイン病にも強いので、発生産地の冬~厳寒期どりで耐病性と収量性と秀品率の向上を望む栽培に適します。
●低温期の結球性良好
トンネル栽培はトンネル内の場所によって収穫期の差が出やすいですが、「ビックガイ」は低温結球性にすぐれ、場所による生育の差が出にくいので、効率よく安定的な収穫が可能です。
●ボリュームのある豊円球で栽培安定
結球葉の被りが深く球尻まとまりのよい豊円球で、ボリューム感にすぐれています。また、重なりが順序よくきれいで適度な空間があるので、業務・加工需要では作業性にすぐれます。 外葉の大きさは適度で株元の風通しがよいので、菌核病や灰色かび病の発生が比較的少ない品種です。
トンネル管理:被覆開始時期や換気は従来のサリナス系品種に準じた管理を行います。
急激な生育の葉がやわらかくできると、その後の冷え込みで凍害が発生しやすくなります。被覆作業は計画的に勧め、蒸し込み栽培を避けてスムーズに生育を進めてください。
被覆開始の目安は平均気温が10℃前後、暖地ではおおむね12月上旬ごろになります。被覆直後は霜除け程度でトンネルの両裾を大きく開放し、根を十分に張らせます。
芯葉が立ち上がりだす結球開始期までは、トンネル内気温25℃ぐらいを目安としてやや暖かめに管理し、外葉を順調に生育させます。
結球開始から結球中期(にぎりこぶし程度)までは、トンネル内気温20℃くらいを目安に換気を行い玉の形状を安定させます。この時期は、作柄を大きく左右する最も重要なタイミングにあたります。
結球中期から収穫までは玉肥大を促すために、25℃ぐらいでやや暖かめに管理します。
収穫前10日~2週間程度にトンネル内でベタがけすると、玉肥大の促進や凍害の防止に効果があります。
適正な水管理で生育をスムーズに進める:気温の低下により生育が緩慢になるため、活着から外葉形成期の生育をスムーズに進めることが大切です。若苗定植を心掛け、定植後は必ず潅水し、順調な活着と根張りを促します。
外葉形成期の干ばつはスパイラル球(タケノコ球)の発生につながります。適宜、潅水を行い適正な大きさの外葉を育てます。
結球期の極端な乾燥は玉の肥大不足や結球不良につながります。特に結球始めごろの圃場水分に注意し、乾燥しているようであれば早めに潅水します。
病害の防除:冬どりで問題になる菌核病や灰色かび病などは、外葉が地表面を覆うまでが防除のタイミングなので初期防除を徹底してください。
べと病は100%近い多湿条件が続くと発生します。育苗ハウスやトンネルの換気で湿度を下げることが大切です。被覆前の11月~12月上旬に雨が多い時は、トンネル内湿度が高くなりやすいので特に換気に注意してください。
ビッグベイン病の耐病性について:ビッグベイン病の耐病性は、発病が遅い・症状が出にくい・生育が抑制されにくいといった耐病性です。「ビックガイ」は「シスコビバ」や「ウィンレー」と同様に高いレベルの耐病性を示しますが、菌密度の高い圃場や排水の悪い圃場では発病が増える恐れもあります。このような圃場では土壌消毒・薬剤潅注・排水の改善など総合的な対策を行ってください。
ビッグベイン耐病性品種の使い分け |
暖地トンネル栽培の場合、年内~1月中旬どりは「シスコビバ」、1月下旬~3月上旬どりは「ビックガイ」がおすすめです。上記品種のリレーがうまくいかない場合は1月中下旬どり作型で「ウィンレー」をご利用ください。2月中旬~3月上旬の厳寒期どり作型で、一層の玉肥大が必要な場合は「レグナム」の作付けをおすすめします。 |
ビッグベイン耐病性で玉肥大がよく秀品率の高い
|