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e-種や|野菜種、花種と苗の三重興農社

◆長岡交配一号甘藍の誕生

□ハイブリッドとは雑種、かけあわせのことで、シードとは種の意味です このハイブリッドシードの時代を作るきっかけになったのは、よくご存知のタキイ種苗株式会社が品種改良によって開発したキャベツのF1種子であったことはよく知られています。キャベツはアブラナ科の植物ですが、そのアブラナ科の植物にはこんな性質があります。同一の株や同一系統の雌蘂と雄蘂の間では、とくに欠陥がないにもかかわらず受粉しても受精しにくい。ところが異なった株や異なった系統の花粉では受精がうまくゆくという現象です。これを自家不和合性といいます。

□しかしながら、そうした性質を持ちながらもアブラナ科の植物には開花以前の蕾状態の時に人工交配で自家受粉をさせると受精が成功する特性があり、これを蕾受粉といいます。そこで自家受粉では決して受精しない完全な自家不和合性の品種(A)と、この品種と組み合わせることで、すぐれた形質を多く発現する品種(B)を交配させれば、Aからとった種子は、Bの花粉によって生じたF1種子ということになります。この種子はメンデルの法則に従って形質が均一になり、両親の優良形質を併せ持つヘテロシス(雑種強勢)を示すので、収量もあがる上、病気にも強いということになります。しかもこの方法であれば、実験室的な規模ではなく商品野菜の種として販売できるだけの規模でF1の種を生産することができる大きなメリットがあります。

□こうしてタキイ種苗株式会社が発売したのがキャベツのF1品種である「長岡交配一号甘藍」で、1950年(昭和25年)のことでした。そして同年、同じアブラナ科の白菜においても、同様の育種法で「長岡交配一号白菜」を完成させ、その後も同社は芽キャベツ、蕪(かぶ)、大根、ブロッコリーなど相継いでF1種子を発表しまた。こうした種子の出現によって農家における野菜作りは変貌せざるを得なくなり、その後の世界的なF1品種開発競争時代を招来させたのです。

◆遺伝子操作と育種

□近年、遺伝子操作によるバイオテクノロジーで新しい夢の植物が開発されるだろうという話が尽きない一方、遺伝子操作の問題点が数多く指摘されています。しかし、実際に安定した商品としての野菜や果物、さらには花の種をそうしたハイテクだけで生み出すには難しい課題も多いといいます。むしろ育種一般においてはメンデルの法則にのっとった交配育種が欠かせず、遺伝子操作によるバイオテクノロジーはあくまでも育種の補助的手段であるとされていて、交配育種でひとつの種を商品として育てるにはやはり8~10年にわたる歳月が必要なのだといいます。長い地道な取り組みがなければ新しい品種はなかなか生み出せないのが種苗の世界なのです。

◆ジーンバンク(遺伝子銀行)

□動植物の新しい品種や新しい食料の開発を行う場合,その基礎となる生物が必要となります。そこで,農林水産業,食品産業等の技術開発の基礎資源である生物遺伝資源を収集,保存,配布する業務を総称してジーンバンクといっています。

□交配育種による品種育成のためにはジーンバンクは欠かすことができないといえるでしょう。例えば自家受粉による交配を繰り返していくと遺伝的には純粋になりますが作物としての生命力を衰退させる品種が現れてきます。これを内婚弱性といい、こうした品種に対しては、他の遺伝資源から再生の力を得るなどの必要が生まれてきます。また同時に、これまで知られなかったまったく新しい品種を生み出す可能性も秘められているのですから・・・

◆シーズウォー(種子戦争)

□しかし現実は、各国の威信をかけた国際競争と作物資源のシェアの争奪戦で、世界的規模で「種子戦争」が行われているという状態です。ことに欧米においては、巨大な種子企業が種子を通じて農業生産の根幹をにぎらんばかりの状態で、種子や種苗の重要性に着目する欧米の超巨大企業が、優良な種子企業を精力的に買収・合併する例は枚挙に暇がありません。アメリカで遺伝子組み換え農産物の第1号となった日持ちのよいトマトを発売した種子企業が超巨大企業の傘下におさめられたのはつとに有名な話です。

◆遺伝子組換え作物

□遺伝子組み換え作物は、アメリカを中心として数多く商品化されていますが、日本においては自給率の低い作物ばかりで農家への影響は比較的少なく、私達の関心事はむしろアメリカ産の遺伝子組み換え大豆をはじめとする農作物の輸入に対するものの方がよほど高いものがあります。

□現在、厚生省が、輸入を認めている「遺伝子組換え食品」は、22品目(その内、作物は、大豆、菜種、ジャガイモ、トウモロコシ、ワタ、トマトの6品目)。

□遺伝子組換え目的を見ると、「除草剤耐性」が15、「害虫抵抗性」が6、「日持ち向上」が1となっています。

□遺伝子組換え作物を開発している企業の半数は近くは、農薬などを生産する多国籍化学メーカーで、「除草剤耐性」といはいえ、効果があるのはそうしたメーカーが生産した除草剤のみ、遺伝子組換え作物の種子と農薬をセットで販売しようという、したたかな計算がうかがえます・・・

◆「選ぶ権利」の確保…ノンGMO商品の開発

□輸入品に対する日本での安全性評価は、一応終了しているとはいえ遺伝子組み換え作物の使用表示に関する高い世論を受けて、その表示義務に対するベースがつくられたのは耳に新しいところです。

□各地生協でも遺伝子組換え作物を原料に使った加工食品をすべて排除することは、現状では不可能。しかし、「選ぶ権利」を確保するため、生協商品を中心に、可能な限り「表示」を実施する努力をするとしています。また、組合員の要望に応えて、遺伝子組換え原料を使用していない(ノンGMO)商品の開発を進めている最中です。

◆今後の検証に注目!

□人類の大きな命題の1つが将来の食糧危機に対し、いかに対応するかという問題です。バイオテクノロジーは、これを解決するための有効な手段の1つといわれていますが、とりわけ遺伝子組み換えの安全性についての議論が盛んです。短時間の検証による解析では問題点は発表されていません。しかしながら、作物ではないにしろ「トリプトファン」の事故例もあり、長期にわたって人がその植物を体内に摂取し続けた場合等の検証については、まだ何も行われていないに等しく、否定的な見解になっています。一方で必要な遺伝形質を短期間で作物に取り組むことができる画期的な技術であるだけに、これからの大きな課題として私達も注目してゆく必要があるでしょう。

協力:タキイ種苗さん