3.タマネギ栽培が案外難しい理由について②
注意すべき主な病害虫について
気をつける病害虫
タマネギは、生育のスピードが遅く、栽培期間が長い。
様々な病害虫のアタックを受けやすい。
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べと病
発病時期は限られるが、感染力が非常に強い
越年罹病株:早春の第一次発生源
広がると防除困難。
予防と観察による初発時の対応が重要。
まずは、越年罹病株の抜き取り!朝露がつく天候で一気にひろがる予防的な薬剤散布が重要
枯葉部分に黒斑病や葉枯病が追い打ち
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りん片腐敗病
玉の内部を腐敗させ、収穫時には見逃すことも多い。
細菌(バクテリア)による病害。
多肥などによる過繁茂を避ける。軟腐病よりも低めの温度帯で発生する。
強風や多雨予報時は要注意。葉折れなど傷口などからの侵入。排水対策重要。
ネギアザミウマなどの食害部分からの感染も。 -
灰色腐敗病
収穫前に罹病し、貯蔵中に腐敗する代表病害
下位葉の首部より玉に侵入。
特に貯蔵種には倒伏期の薬剤散布が重要。
後半に肥料が効いて葉が一気に柔らかく育った場合などは、感染しやすい。 -
ネギアザミウマ(スリップス)
食害だけでなく、様々な病害の要因となる
- 成虫は1.1~1.6mm
淡黄色~黄褐色(夏)、葉を吸汁する - 卵は葉に産み込まれる。幼虫は、葉茎上で寄生生活を送り、地中で蛹となる
- 合成ピレスロイド耐性が報告されている
ネギアザミウマ媒介のウイルス(IYSV)によるえそ条班病や、食害部からの細菌性病害などに注意
- 成虫は1.1~1.6mm
病害対策のまとめ
- 主要病害の発生時期を知る
- 正しい病害診断と薬剤散布を行う
- 病気の株はあきらめて直ちに抜き取る
- 枯葉などをすきこまない翌年発生の元
- 長年、同じ圃場で連作しない
- 病害発生を助長する害虫を防除
多くの病害は、圃場中に病原菌が残存
⇒ 翌年の発生源
本年(2022年)
冬季の低温干ばつ
⇒ 春の急激な温度上昇と雨
⇒4~5月に肥料が一気に効いて葉が柔らかく育っている
べと病
(Peronospora destructor)
灰色腐敗病
(Botrytis allii)
りん片腐敗病
(Burkholderia
gladioli)
軟腐病
(Erwinia carotovora)
たまねぎ 病害虫対策農薬(例)
主な対象病害虫 | 農薬名 | 希釈倍率・使用量 | 使用時期 | 使用方法 | 使用回数 |
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タネバエ、タマネギバエ | ダイアジノン粒剤5 | 10a当り3〜5kg | は種時又は定植時 | 全面土壌混和又は作条土壌混和 | 2回以内 |
アザミウマ類、ネギコガ、ハスモンヨトウ | アディオン乳剤 | 3000倍 | 収穫7日前まで | 散布 | 5回以内 |
ネギアザミウマ、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ | プレオフロアブル | 1000倍 | 収穫3日前まで | 散布 | 2回以内 |
べと病、灰色かび病、白色疫病 | ダコニール1000 | 1000倍 | 収穫7日前まで | 散布 | 6回以内 |
べと病、白色疫病 | ランマンフロアブル | 2000倍 | 収穫7日前まで | 散布 | 4回以内 |
灰色かび病、灰色腐敗病 | ストロビーフロアブル | 2000倍 | 収穫14日前まで | 散布 | 3回以内 |
灰色かび病、灰色腐敗病、黒斑病 | ロブラール水和剤 | 1000倍 | 収穫7日前まで | 散布 | 3回以内 |
灰色かび病、べと病、小菌核病 | シグナムWDG | 1500倍 | 収穫7日前まで | 散布 | 3回以内 |
べと病、白色疫病 | リドミルゴールドMZ | 500〜1000倍 | 収穫7日前まで | 散布 | 3回以内 |
※令和4年6月現在の登録内容を基に作成してあります。
※農薬の使用前にはラベルをよく読み、安全基準を守って正しく使用してください。