◆団粒構造の土壌を作ります |
|
緑肥作物の根は軟らかく、通気性、保水性に優れた団粒構造の土壌を作ります。エンバクをすき込むと、地下45cm付近まで土が軟らかくなります。 |
◆肥料の流出を抑え、残効肥料の利用が可能 |
|
施用した肥料の約20%は流亡するため、地下水などの汚染につながる恐れがあります。空いている畑に緑肥作物を作ることで、肥料の流出を抑え、残効肥料の利用が可能となります。
また、多収の緑肥をすき込み土壌での分解が進むと、「腐植」と呼ばれる物質がたくさんできます。この「腐植」が保肥性の高い土をつくり、今まで土中に存在しながら使えなかったリン酸を、作物の使える状態(リン酸の有効化)にします。 |
◆線虫密度の低下 |
|
有害線虫に対抗性を持つ緑肥作物を栽培する事で、ほ場の有害線虫の密度を減少させ、貴重な有益微生物を殺さずに活かします。
エンバクを作付けしたほ場は、有益な微生物を繁殖させ、有害線虫を抑えます。 |
◆すき込み時期と後作までの期間 |
|
すき込み時期は、一般的には緑肥作物の種子が登熟する前、出穂始め頃が適しています。種子ができてからでは、雑草化する恐れがあります。
緑肥作物が土壌中にすき込まれ分解が始まると、ピシウム菌やリゾクトニア菌等の、農作物に有害な菌が増加しますが、分解が終了すれば、菌の密度は低下します。
また、分解時に土壌中の窒素が利用されるため、土壌中は窒素飢餓(窒素が著しく不足する状態)になります。この窒素は、分解後に徐々に農作物が利用できる状態に戻ります。
以上のことから、緑肥作物をすき込んで一定の期間は農作物を作付けしないようにします。一般的に、この期間は50~60日といわれていますが、緑肥作物の分解条件である土壌の温度、水分条件、後作作物などによって違いますので、注意が必要です。なお、石灰窒素等の窒素肥料は、緑肥作物の分解を早めますので、すき込み時に同時施用するのも良いでしょう。 |
◆緑肥作物と線虫との効果的組み合わせ |
|
緑肥作物の線虫対抗性は、線虫の種類によって非常に異なります。従って、線虫の密度低下を目的として緑肥作物を導入する場合は、目的とする線虫の種類を確認した上で、その線虫に効果的な緑肥の種類を選定しましょう。 |
◆緑肥作物の害虫管理 |
|
緑肥作物の種類によって、アブラムシ等の害虫の発生が見られます。緑肥作物作付け周辺ほ場への害虫被害が起きないよう、適切な管理を心掛けましょう。 |
◆遊休転作田にも有効 |
|
このように緑肥作物は土壌改良や線虫被害の低減に非常に有効ですが、一時農地を遊ばせておかなければならないような状態なった時の対策作物としても非常に有効です。細茎ですき込みや吸いエンバクなどの利用は、最低限の労力で、いつでも再開できるよい状態でほ場を維持することができます。 |