品種の特徴

• 草勢は3倍体品種としては大人しい(通常のタネあり品種よりは強い)。
• 果皮色は漆黒色で縞の無い重量感ある外観。
• 空洞果や変形が3倍体品種としては非常に少なく、抜群の秀品性。タンソ病にも強い。
• 果重6～8kg。果形は玉張りの良い球形。
• シイナ(未熟種子)が少なく、カットした場合の見栄えも良好。
• 糖度は12.5度前後でコク深い。果肉は濃桃紅色でやや硬めの肉質。
• 従来の3倍体品種特有の繊維質が口の中で残らず、食感・口どけが極良。
• 果皮が硬いため輸送性に優れ（荷痛みしにくい）、カット販売もしやすい。

栽培のポイント

• ハウスでは4月下旬収穫から、大型トンネルでは6月上旬収穫からの作型に好適（加温ハウスであれば4月上旬収穫から）
• ハウスでは株間50～60cmの3本仕立て1果どり、トンネルでは60～70cmの4本2果どりが良い。
• タネあり品種と比較して草勢が強いため、施肥量は2～3割減が良い。台木品種には草勢が暴れにくい「FRペースメイカー」をお奨めします。(特に早い作型にて)
• 成熟期は中生タイプ。6～7月収穫のトンネル栽培で開花後45日程度で収穫。
• 果皮色が非常に濃いため、玉キズがあると目立ちやすくなるので特に幼果期には傷つけないように注意。また、高温期作型では日焼けする場合があるので、日焼け対策として草勢の維持に努める。また果実に新聞紙を被せることも有効です。

【シードレス品種の栽培注意点！】

• 『シードレス品種の発芽・育苗について』
  発芽適温は28～30℃です。通常のスイカに比べ3℃高めの温度が好適ですので、電床の温度や被覆開閉により温度調整が必要。またシードレス品種は遺伝的に子葉の奇形が発生します。したがって子葉の綺麗な穂木だけを使用すると歩留まりが非常に悪くなります。生長点（本葉）が見える穂木は全て使用して下さい（その後の生育に問題はありません）。接ぎ木をされる場合、シードレス品種は他品種よりも胚軸が太くなります。よって挿し接ぎの場合は通常よりも台木を1～2日早蒔きすると接ぎ易くなります。


• 『シイナ（未熟種子）の出現について』
  シードレス品種の果実肥大期が低温であれば、白色シイナが形成される割合が高くなります。よって特に低温期は果実肥大期にしっかりと保温することが重要です。また逆に肥大期が猛暑で高温の場合、褐色に着色したシイナが形成される場合があります。


• 『受粉について』
  シードレス西瓜の交配には必ずタネ有り品種の花粉が必要です（自らの花粉では結実しません）。タネ有り品種の花粉であれば、小玉・大玉・赤肉・黄肉いずれの花粉でも構いません。手交配が最も確実ですが、ハチ交配の場合はシードレス品種の株数に対し20～30％程度のタネ有り品種を混植。1箇所にタネ有りを集めるとハチの往来に偏りが生じるため必ず分散させて植えて下さい。
  ※混植するタネ有り品種は、草勢の強いシードレス品種に葉茎が覆われてしまい生育負けを起こす場合がありますので、「羅皇」など草勢の強い品種を使用することがお奨めです。


• 『異株（退化株）の混入について』
  シードレス品種は遺伝的に約3～5％程度の異株（退化株）が混入します。短節間で葉の切れ込みが深い苗（写真参照）は定植しないで下さい。退化株の果実は小さく、空洞果・変形果となって商品価値が著しく低くなります。本圃で退化株を発見した場合は抜き取り処分をし、隣の株の側枝を伸ばします。