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e-種や|野菜種、花種と苗の三重興農社

はじめに・・・

 石灰窒素はプロの農家に使われ続けて100年になります。その最大の理由は、土にまぜた石灰窒素は農薬として働いた後に窒素肥料に生まれ変わるという点です。農薬でいる間は病害虫雑草を防除し、数日から10日ぐらいで薬効成分は完全に消滅します。薬効成分から生まれ変わった肥効成分は、穏やかに効くアンモニア型主体の肥料で、流亡が少ないため、水質への影響が少ない上、作物による硝酸態窒素の過剰吸収もおこりにくいものとなっています。
 

 

畝

 

環境に優しいといわれる石灰窒素の原点を構成する4大要素

1.防除した後毒性を残さず肥効に変わる

石灰窒素の主成分カルシウムシアナミドに由来するシアナミドが病害虫雑草を防除する。 薬効成分のシアナミドはアンモニア型主体の肥料成分に生まれ変わって、シアナミド自体は完全に分解消滅するので毒性が残らない。

2.石灰窒素の窒素は土壌によく保持されてロスが少なく長効きする
土の中でできる石灰窒素の窒素成分は主にアンモニア型で、この石灰窒素由来のアンモニア型は、土から逃げやすい硝酸型に変化しにくい。  他の肥料の場合、畑に与え過ぎた窒素はアンモニア型でとどまっていることは少なく硝酸型まで酸化されて、下層へ流出(流亡)して地下水などを汚染する恐れがある。
3.青刈り作物・石灰窒素同時鋤込みなどの土づくり

石灰窒素には次のような土づくり効果があります。

《太陽熱・石灰窒素法》

土の中に石灰窒素と有機物をすきこみ、表面をマルチしハウスを密閉すると、地温が摂氏40~50度まで上昇する。この期間を20~30日間続けると病害虫雑草を防除でき、同時に土の理化学性も改善される。

《稲わら+石灰窒素 による水田の土づくり》

 カット稲わらで覆われているコンバイン終了後の田に、石灰窒素を散布してわらと一緒にすきこむと土中堆肥ができる省力土づくり法。
4.家畜家禽ふん尿や汚泥の腐熟(分解)促進・悪臭低減
終末廃水処理汚泥や家畜家禽の糞尿を処理することで、堆積環境を改善し有機質肥料へとリサイクル。

石灰窒素の成分

原料が石灰石、炭素材、窒素ですから、できあがった石灰窒素の成分はカルシウム、窒素、炭素です。
  • 農薬として

    カルシウムシアナミド 60%
    酸化カルシウム 20%
    炭素など 20%

  • 数日〜10日後
  • 肥料として

    窒素 21%
    アルカリ分(石灰) 60%
    炭素など 19%

太陽熱・石灰窒素法とは

 土壌中に石灰窒素と稲わらなどの有機物をすき込み、表面をビニルフィルムで覆い(マルチ)ハウスを密閉すると、地温が40~50℃まで上昇します。この期間を20~30日間(積算で40℃約100時間)継続すると、各種の病害虫と雑草を防除でき、同時に土壌の理化学性も改善できるという(土中堆肥)、太陽熱と石灰窒素の働きを効果的に利用した総合的な土づくり法です。
 太陽熱・石灰窒素法は、臭化メチルの代替技術として期待されていますが、普及は今ひとつ、どんな理由からでしょうか。
 この方法は、北海道でも、またマルチだけの露地栽培でも使えます。(病害防除に限定) マルチは石灰窒素の土壌消毒効果を安定向上させる一つの手段ではないかと考えられています。

土作り

《石灰窒素を利用して土壌消毒》

 この方法は、夏季の太陽熱と石灰窒素の働きを効果的に利用したもので、一般的に「太陽熱・石灰窒素法」と呼ばれています。まず、土壌中に石灰窒素と有機物をすき込み、表面をマルチしハウスを密閉すると、地温が40~50℃まで上昇します。この期間を20~30日間(積算で40℃約100時間)継続すると、総合的な土づくり法となります。
1. 実施時期
 日射が強い時期が最適です。処理期間は20~30日間ぐらいが必要です。地温の上がりかたが足りない場合は、期間を長くしてください。
2. 作業の順序(標準)
① 稲わら散布:切りわら1~2t/10aを散布する。わらの上に軽く散水する。
② 石灰窒素散布:わらの上に石灰窒素を50~100㎏/10a散布する。
③ わらをすき込む:トラクター耕うん機で、わらをなるべく深くすき込む。
④ 小畦を立てる:小畦(高さ30㎝、幅60~70㎝)を立てる。
⑤ 透明ビニールで完全マルチ:ビニールで土の表面を密封する。
⑥ 灌水する:灌水チューブ等で作土層20㎝程度まで十分に水が浸透するまで灌水する。
⑦ ハウス密閉:ハウスの破損箇所は修理し、出入口や灌水溝から、すきま風が入らないように完全密閉し、20日~30日放置する。
3. 有機物の種類と量
 有機物は稲わらのように窒素の含有率が低く、発酵熱を発生するものが効果が高いので、代替品を使用するときにも発酵熱を出すものを選ぶようにします。鶏ふん、豚ぷんを使うときは窒素が多くならないように注意します。10a当たりの施用量の目安はつぎのとおりです。 稲わら1~2tがない場合は、もみがら0.5~1t、飼料作物〔青刈〕生草5~7t、バーク〔一次発酵品〕4~5t、おがくず〔生〕1.5t、きゅう肥〔豚ぷん〕0.5~1t、〔牛ふん〕1~2tを使います。 地温は、稲わらと石灰窒素を使うと、これらを使わない場合より高くなり、冷夏で地温が上がりにくい年にはとくに効果的です。
4. 「太陽熱・石灰窒素法」は、つぎの点にも注意してください。
石灰窒素と有機物は必ず使用する。
支柱ぎわと周辺部は、地温が上がりにくいので、土をなかに寄せマルチをていねいにする。
石灰窒素や土ぼこりが立たない程度に散水し、土と有機物を湿らせる。
小畦を立て、土の表面積を多くし、熱がよく伝わるようにする。
石灰窒素が施設の外へ飛散しないようにする。とくに水稲の出穂期は注意する。
ハウス内の気温は60~70℃に上がるので、精密機械や熱に弱い樹脂製品には覆いをかぶせ断熱するか、取り外して施設外に出しておく。
基肥の窒素施肥量はつぎの点に注意する。 実施後、30日ぐらい経ってから植え付けるときの基肥は基準量でよいが、定植の早いものでは、基肥をひかえめにする。ECの測定など、土壌診断により基肥量を決めることも大切です。

多量に石灰窒素を散布した日は晩酌の酔いが早まる。

 石灰窒素のアルカリ成分と農薬成分のシアナミドとは人体、動植物などの生物に影響します。安全に取り扱って石灰窒素の効果をあげてください。 石灰窒素はアルカリ性で,その成分は農薬効果のあるシアナミドですから、人体にも影響があります。散布するときは吸い込まないようにしてください。 また、手足が濡れていたり、汗をかいたままだと,皮膚がかぶれる原因になります。マスクをつけて,できるだけ飛び散らぬよう、ていねいに散布してください。 石灰窒素を吸い込むと,人によっては酒類への耐性が弱くなります。つまり、少量の酒でも早く酔いが回り、二日酔いになりやすくなります。多量に散布した日や,顔や手足が石灰窒素で汚れた日は飲酒をひかえてください。

酒酔い

なお、肥料袋の裏面に下記のとおり使用上の注意が記載してあります。

1.誤飲、誤食などのないように注意すること。誤って飲み込んだ場合には、吐き出させ、直ちに医師の手当を受けさせること。本剤使用中に身体に異常を感じた場合には直ちに医師の手当てを受けること(小児の手の届くところには置かない)。

2.本剤は眼に対して強い刺激性があるので、眼に入らないよう注意すること。眼に入った場合には直ちに十分に水洗し、眼科医の手当てを受けること。

3.本剤は皮膚に対して刺激性があるので、皮膚に付着しないよう注意すること。付着した場合には直ちに石けんでよく洗い落とすこと。

4.散布液調製時および散布の際は、保護眼鏡、防護マスク、不浸透性手袋、ゴム長靴、不浸透性防除衣等を着用すること。また薬剤を吸い込んだり浴びたりしないように注意し、作業後は直ちに身体を洗い流し、洗眼・うがいをするとともに衣服を交換すること。

5.作業時に着用していた衣服等は他のものとは分けて洗濯すること。

6.かぶれやすい体質の人は作業に従事しないようにし、施用した作物等との接触をさけること。

7.夏期高温時の使用を避けること。

8.散布後24時間以内は飲酒しないこと。

9.養魚田での使用は避けること。また、養魚池等が近くにある場合は、散布田の水が流入しないように注意すること。

10.吸湿性があるため、防水に留意し、雨漏れ、浸水等の恐れのない場所に保管すること。

資料:日本石灰窒素工業会編 石灰窒素Q&A
石灰窒素工業会ホームページ

農薬は正しく使いましょう
農薬の使用は、そのラベルに書いてあることを守るのが基本ですが、特に食用農作物などに対して使用する場合は、農薬の残留が基準値以下となることを確実にするため、
 
① その農薬に適用がない作物へは使用しないこと
② 定められた使用量又は濃度を超えて使用しないこと
③ 定められた使用時期を守ること
④ 定められた総使用回数以内で使用すること
 
を遵守義務とし、違反した場合に罰則が設けられています。  また、毒性の強い農薬を使用することが多い倉庫などでのくん蒸を行う者、周辺への影響を配慮すべき航空散布を行う者やゴルフ場で農薬散布を行う者には、農薬使用計画を農林水産大臣に提出することを義務付けています。 さらに、社会的要請が強い事柄について努力義務が設けられています。
 
① 有効期限切れ農薬を使用しないこと
② 農薬を使用した日や場所、作物、農薬の種類や量を記帳すること
③ 航空散布や住宅地周辺での散布で、農薬が飛散しないようにすること
④ 水田で使用する農薬の止水期間を守ること
⑤ 土壌くん蒸剤の被覆期間を守り揮散防止に努めることです