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ユーストマ
(季咲き)
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ユーストマ
(季咲き)
令和3年8月5日(木)長野県野菜花き試験場(塩尻市宗賀床尾)にて実施した。長野県では冷涼な気候を利用して夏秋期のユーストマ生産が盛んに行われており、全国1位の生産量を誇る。今回の栽培では、6月の梅雨入り以降に低温・低日照が続き、一部の品種では開花の遅延がみられたが、梅雨時期における栽焙特性を評価できる審査会となった。
審査会の開催に際しては、新型コロナウイルスの感染拡大防止の対策として、①原則として屋外または風通しの良い場所で実施②審査員が密集しないよう間隔に注意して審査を行う③会場での滞在時間は最小限にとどめる、といった措置を取りながら行うこととなった。
審査会の開始にあたり、長野票野菜花き試験場を代表して豊嶋悟郎・場長よりご挨拶があり、農研機構野菜花き研究部門花き遺伝育種研究領域の間竜太郎・領域長を審査長として打ち合わせを行った。栽培を担当した佐藤憲二郎・技師より耕種概要の説明を頂いた後に、立毛100点満点による審査を実施した。
会場となった長野県野菜花き試験場
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耕種概要
栽培場所
長野県野菜花き試験場内パイプハウス(単棟、間口7.2m、奥行き18m)
前作
ユーストマ
試供品種
24点
栽培規模
1区24株(4条×6列)、2区制
播種
1月29日 しなのセル苗用培土(緑袋・窒素含有量100mg/リットル)を充填した406穴セルトレイに播種した。
育苗
播種後、昼温25℃、夜温18℃設定(暖房)下で育苗した。子葉展開後に液肥を週2〜3回施与した。
定植
4月29日に、床幅60cm、条間12cm、株間12cm 中1条抜き4条植えで定植した。
管理
温度管理として、4月29日~6月1日まで開30℃、閉26℃、換気扇35℃、加温設定18℃、6月1日~8巨5日まで開32℃、閉28℃、換気扇35℃設定とした。
6月1日に40%遮光を内張りし、平日は天候に応じて開閉、土日は展張したままとした。地表面から15~20cmまでの間に発生した下位分枝は除去した。頂花は除去しなかった。施肥
基肥 堆肥 200kg/ハウス 窒素成分量N=1.0kg/1a 追肥 (育苗時)トミー液肥1,000倍液 週2~3回 薬剤散布
薬剤使用基準に基づき、下記の通り殺菌剤・殺虫剤による防除を行った。
5月10日 ダコニール1000、オルトラン水和剤 5月21日 セイピアーフロアブル20、モスピラン顆粒水溶剤 6月10日 ダコニール1000、スピノエース顆粒水和剤 7月1日 セイビアーフロアブル、ディアナSC -
生育期の気象経過および生育状況
栽培期間中の気象条件について、定植後、4月下旬から5月中旬まで低温、低日照傾向で推移した。以降の気温は平年値よりやや高い傾向で推移したが、日照時間は平年値より低く推移した。梅雨明け以降は高温傾向で推移した。
生育および開花状況について、定植時の苗は概ね2~2.5対葉が展開しており、定植後の活着および生育は概ね順調であった。定植後のロゼット化株の発生は、全ての品種で認められなかった。圃場全体で数株、ウイルス病(IYSV(アイリス イエロー・スポット ・ ウイルス)他)および立枯病が発生したため、発生株は除去した。
一部の品種で葉先枯れ、芯止まり症状および茎折れ症状が発生したが開花に影響はなかった。定植後~5月中旬にかけて、低温・低日照下での生育となったが、6月上旬の平均気温は高めに推移した。6月中旬の梅雨入り以降7月中旬まで、日照不足により開花が遅延し、2品種についてそれぞれ片方の反復区で開花に至らなかった。
審査温室全景
審査の様子
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結果および講評
審査の終了後は、間審査長よりご挨拶を頂き閉会した。会場への滞在時間を短縮するため、審査を終えた参加者にはそのまま解散して頂き、審査結果は後日、事務局から関係者に通知することとした。
集計された採点結果をもとに間審査長と公的審査員ならびに事務局で検討会議を行い、下記の通り入賞結果を確定した。
審査結果【ユーストマ(季咲き)】(100点満点)
順位 得点 等級 品種名 出品社 1 84.27 1等特 EU-830 タキイ種苗㈱ 2 82.64 2等 670 ㈱ムラカミシード 3 81.82 2等 EU-828 タキイ種苗㈱ 4 81.00 2等 EU-831 タキイ種苗㈱ 5 80.45 2等 M9-H-34 ㈱サカタのタネ 6 79.91 3等 K502 カネコ種苗㈱ 7 79.45 3等 K510 カネコ種苗㈱ 8 77.73 3等 18-61 福花園種苗㈱ 1等特別賞「EU-830」
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審査員内訳
官公審査員
・農研機構野菜花き研究部門
・山形県庄内総合支庁産地研究室
・福島県農業総合センター
・長野県野菜花き試験場日種協
・花き栄養繁殖性植物部会員
・長野県支部会員