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パンジー・ビオラ
(秋出しポット栽培)
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パンジー・ビオラ
(秋出しポット栽培)
令和元年11月5日(火)神奈川県農業技術センター(平塚市上吉沢)にて実施した。農林水産省による平成30年の花き生産統計によると、神奈川県における花壇苗全体の作付面積は 69.0haで出荷量は2,750万本となっており、そのうちパンジー類の作付面積は20.6ha、また年間の出荷量は869万ポットと、全国でもトップレベルの規模の産地である。
審査会の開催にあたり、農業技術センターを代表して西田周史・所長より御挨拶があり、続いて、日種協花き栄養繁殖性植物部会を代表して小関敦氏(㈱サカタのタネ)より謝辞が述べられた。
今回は農研機構野菜花き研究部門の中山真義・花き生産流通研究領域長を審査長として打ち合わせを行い、栽培を担当された山元恭介・主任研究員より耕種概要の説明があった後に、立毛100点満点の審査を行った。
審査温室全景
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耕種概要
栽培場所
神奈川県農業技術センター内ガラス温室
試供品種
15点
栽培規模
1区40株、2区制
播種
8月15日 メトロミックス350Jを充填した288穴セルトレイに播種した。
育苗
播種後、20℃設定の苗テラス内で5日間催芽し、8月20日にガラス温室に移動した。ガラス温室内では55%遮光下のベンチ上で育苗した。
鉢上げ
9月9~10日に10.5号黒ポリポットに鉢上げを行った。
培土は、赤土:腐葉土:ピートモス:パーライトを容積比10:5:5:1とし、これに基肥を混合したものを使用した。施肥
基肥
エコロング413-100 2g/L
重焼燐 2g/L
苦土石灰 2g/L
追肥
栽培期間中(8月20日~11月5日)でピータースを9回、プロミックを1回施用した。薬剤散布
栽培期間中(8月20日~11月5日)、殺虫剤を7回、殺菌剤を6回散布した。
管理
鉢上げ後はガラス温室内で管理し、9月16日までは55%遮光下で、以後は無遮光で栽培した。
台風の直撃など秋季の天候が不順であったため、屋外には出さず、終始ガラスハウス内で栽培を行った。審査日の1週間前まで摘花を行った。なお、わい化剤は使用しなかった。 -
生育期の気象経過および生育状況
気象経過について 気温は、播種後、栽培期間中を通じて平年より高く推移した。8月には最高気温が35℃を超える日があり、9月中旬から10月上旬には連続して気温の高い日があった。日照時間、積算日照量は播種から9月中旬まではほぼ平年並みかやや少なく、9月下旬は晴天日が多くなり、日射量も多かった。10月上旬から下旬は曇りや雨が多く、日照時間、日射量は平年に比べてかなり少なかった。秋季には台風15号、19号の通過、接近による大雨、強風日があり、その他にも風雨の強い日が多かった。
生育状況については、開花始めの最も早い品種では9月30日に開花し始めた。開花株が85%に達するのは、最も早い品種で10月7日であった。一方、開花の遅い品種では、11月3日の調査時で開花率が70%という状況だった。
バラ試験温室の視察
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結果発表および講評
審査の終了後は、農業技術センター企画経営部の木村職員のご案内により、参加者は場内を巡回してバラやシクラメン、スイートピーなどの花き試験温室や花木栽培圃場の視察を行った。
その後、中山審査長より入賞品種の発表があり、続いて栽培担当者への御礼と併せ「今回はすべての出品品種がビオラで占められており、花色のコントラストがきれいだった。花付きの揃いが良く、草丈もコンパクトに仕上がったものが高く評価され入賞したように思われる。パンジー・ビオラは秋から春にかけて長期間、花壇を彩る重要な品目であるので、各社におかれては引き続き、優良品種の開発を進めて頂きたい。」との講評があった。
閉会にあたっては、日種協神奈川県支部を代表して神奈川県種苗協同組合の石塚章雄業務部長より、入賞者への祝辞と併せ、不安定な気象の中で入念な栽培管理をして頂いた神奈川県農業技術センターご担当者への御礼の言葉を以て、会は終了した。
審査結果【パンジー・ビオラ(秋出しポット栽培)】(100点満点)
順位 得点 等級 品種名 出品者 1 84.67 1等特 ピエナ ディープマリーナ ㈱サカタのタネ 2 81.75 2等 クイックタイム ホワイトブロッチ ㈱ミヨシグループ 81.75 2等 ピエナ ゴールデンブロッチ ㈱サカタのタネ 4 81.33 3等 EV-695 タキイ種苗㈱ 5 80.25 3等 クイックタイム イエローバイオレットジャンプアップ ㈱ミヨシグループ 6 79.92 3等 クイックタイム ミッキー ㈱ミヨシグループ 1等特別賞「ピエナ ディープマリーナ」
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審査員内訳
官公審査員
・農研機構 野菜花き研究部門
・埼玉県農業技術研究センター
・千葉県農林総合研究センター
・東京都農林総合研究センター
・神奈川県農業技術センター日種協
・花き栄養繁殖性植物部会員
・神奈川県支部会員