令和2年6月22日(月)長野県野菜花き試験場(塩尻市宗賀床尾)にて開催された。長野県では高地の冷涼な気候を活かした夏秋レタスの生産が盛んであり、特に結球レタスの生産額は約150億円に達し、作付面積と生産量がともに全国1位となる代表的な生産県である。
国内で発生している新型コロナウイルスに関しては、県境をまたぐ移動の制限が6月19日より解除された状況ではあるが、引き続きウイルスの感染拡大防止の対策を取るため、審査当日の連営方針として、①原則として屋外で実施②審査員が密集しないよう間隔に注意して審査を行う③会場での滞在時間は最小限にとどめる、といった措置を取りながらの開催となった。
審査会の開始にあたり、担当研究機関を代表して山口秀和・場長より開会挨拶があり、続いて日種協技術研究委員会を代表して畠中誠 ・ 副委員長(タキイ種苗(株)より謝辞が述べられた。その後、農研機構野菜花き研究部門野菜育種ゲノム研究領域の野口裕司 ・ ウリ科イチゴユニット長を審査長として打合せを行った。
その後、栽培を担当された関功介・技師より審査員に対して耕種概要の説明があった後に、圃場に移動して立毛100点、収穫物300点、合計400点満点の審査を行った。
立毛審査の様子
試験場スタッフによる収穫作業
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耕種概要
栽培場所
長野票野菜花き試験場(標高750m)
土質
表層腐植質黒ポク土
前作
キャベツ
試供品種
13点
栽培規模
1区60株(6列X10株)、2区制
栽植様式
うね幅45cm、株間27cm、8,320株/10a
播種
4月8日 200穴セルトレイ黒(1粒播き)育苗培土に与作N-15 (N150mg/L)を使用
定植
5月7日(播種29日後)
施肥
基肥 5月1日 BBN-552 (15-15-12) 67kg/1Oa
成分量【N:P2O5 : K2O = 10.0:10.0:8.0】 (kg/10a)薬剤散布
長野県病害虫・雑草防除基準に基づき施用した。
5月7日 ジュリボフロアブル(セルトレイへ灌注) 5月20日 バリダシン液剤5、グレーシア乳剤 6月2日 Zボルドー、プレオフロアブル 6月9日 スターナ水和剤、スピノエース顆粒水和剤 6月16日 ジーファイン水和剤、フェニックス顆粒水和剤 管理
5月1日 オークラ白黒マルチで被覆
収穫物審査の様子
収穫物のカット作業
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生育期の気象状況・生育状況
生育期間中の気象経過について、気温は定植後から平年よりも高めに推移した。降水量は平年よりもかなり少なく推移していたが、6月第3半旬にまとまった降雨があった。日照時問は平年よりもやや短かった。
生育の概況として、出品品種の発芽率は良く、苗の生育は概ね順調であった。定植後の活着は良好であったが、一部でカラスなどによる鳥害が発生した。島害発生箇所には5月11日にサニーレタスを補植した。6月第2半旬までは病害虫による目立った被害はなかった。6月第3半旬にまとまった降雨があり、6月13日頃から一部で軟腐病が発生した。
講評および入賞結果の検討
審音の終了後、野口審査長からは「今回の審査では、生育期の急な降雨により生育の前進や軟腐病などの病害も一部でみられたことから、今後は急激な天候変化に対応できるよう環境変化に鈍感な性質が重要性を増してくるのではないだろうか。また、細菌性病害等に強く、ベと病レース耐性を持つ品種もさらに求められると思われる。」との講評が述べられ、閉会となった。
参加者の滞在時間を短縮するため、室査を終えた参加者にはそのまま解散して頂き、審査結果は後日、関係者に通知することとした。
審査会の閉会後、集計された採点結果をもとに野口審査長と公的審査員ならびに事務局で検討会議を行い、下記の通り入賞結果を確定した。
審査結果【レタス(初夏どり)】(400点満点)
順位 立毛 収穫物 合計 等級 品種名 出品者 1 88.65 250.77 339.42 1等特 L20Z202 住化農業資材(株) 2 86.94 248.64 335.58 2等 サカタ育成 M8-055 (株)サカタのタネ 3 79.82 246.62 326.44 3等 カネコ育成 タフV カネコ種苗(株) 4 79.65 241.23 320.88 3等 サカタ育成 M8-052 (株)サカタのタネ 1等特別賞「L20Z202」
審査員内訳
官公審査員
・農研機構野菜花き研究部門
・群馬隈震業技術センター高冷地野菜研究センター
・兵庫県立農林水産技術総合センター
・淡路農業技術センター
・長野県野菜花き試験場日種協
・野菜種子部会員
・長野県支部会員