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第66回 全日本花卉品種審査会 ユーストマ(秋出し・シェード栽培)

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ユーストマ

(秋出し・シェード栽培)

令和2年10月2日(金)山形県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室(酒田市浜中)を会場として開催された。今回の品種審査会をお引き受け頂いた庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室は日本海沿岸まで直線距離にして約1kmと程近く、場内の栽培温室は海浜地域特有の砂地土壌となっており、庄内地域の特徴を活かした農業産地の形成や農業者に対する技術的課題の解決支援を目的として試験が行われている。

本年は8月から9月にかけて晴天が続き猛暑となったことから、想定よりも発蕾が大幅に早まったが、栽培ご担当者による対応と管理のおかげにより花の見頃を維持した状態で審査を実施することができた。

審査会の開催に際しては、新型コロナウイルスの感染拡大防止の対策として、①原則として屋外で実施②審査員が密集しないよう間隔に注意して審査を行う③会場での滞在時間は最小限にとどめる、といった措置を取りながら行うこととなった。

開始にあたり、栽培担当機関を代表して渡辺朋恵・産地研究室長より謝辞が述べられた。続いて農研機構野菜花き研究部門花き生産流通研究領域の福田直子・主席研究員を審査長として審査手順などの打合せが行われ、栽培を担当された吉田祐一・研究員より審査員に対して耕種概要の説明があった後に、圃場に移動して立毛100点満点の審奎を実施した。

栽培温室の様子

栽培温室の様子

  • 耕種概要

    栽培場所

    庄内産地研究室 ビニールハウス(129.6㎡)

    前作

    なし

    土質

    砂土

    試供品種

    25点

    栽培規模

    1区28株(7株×4列)、2区制

    栽植様式

    ベッド幅60cm、株間10cm、条間10cm、中央2条を空けた4条植え

    播種

    4月8日 用土としてメトロミックス350Jにマイクロロングトータル100日タイプを4g/L混合したものを充填した288穴セルトレーに播種した。裸種子は2~3粒、コート種子は2粒播きとした。
    セルトレーの配置による生育ムラを防ぐため、1トレーに1品種を播種した後、セルトレーを半分に切断し1つの育苗バットに異なる2品種を配置した。
    4月8日~5月6日まで10℃暗黒条件の種子冷蔵処理を行った。

    育苗

    5月7日~6月25日、25℃目標に喚起するよう設定した育苗棟内ベンチにて育苗した、遮光率30%の資材を育苗棟内上部に展張した。栽培環境の偏りを防ぐため同一品種のセルトレーは離れるように配置した。

    土壌消毒

    3月27日~5月7日にガスタード微粒剤で全面消毒を実施した。

    定植

    6月26日 白黒ダブルマルチ(白上)のビニールハウス内に定植した。

    管理

    育苗中の灌水は、週2回を自安に底面より給水し、 睛天時は追加でマイクロスプリンクラーを用いて1回あたり10~15分程度灌水した。
    6月8~9日に間引きを行った。
    温度管理について、定植後は強風時のみハウスサイドを風上側で調節、それ以外は天候に応じてサイドおよび入口を開放した。
    短日処理として、7月1日~8月10日まで9時間日長(明期8~17時)、夜間開放(21時~翌日3時)とし、8月11~12日に12時間日長(明期6~18時)とした。
    側芽整理について、地表面から約15cmまでの間に発生した側枝は除去した。(主茎が15cm未満で芯止まりとなった場合は株元の側芽のみ除去)
    主茎頂花は全て花梗ごと摘除した。また、9月10日までに蕾の長さ約10mmに達した小花は花梗ごと摘除した。(摘除回数が多くなり草姿に影響する可能性のある品種は、9月4日までの処理とした)
    遮光は6月26日~9月11日まで、50%遮光の資材をハウス屋根面に展張し、天候に応じてかけ外しを行った。9月12日以降はブラスチングの発生を避けるため撤去した。

    施肥

    施用前pH7.2、EC 0.02ms/cm
    基肥:N-P205-K20 (kg/a) 1.3-1.3-1.3、 苦土石灰5kg/a
    追肥:N-P205-K20 (kg/a) 0.1-0.05-0.11、8月24日にOKF1(液肥)を施用

    薬剤散布

    以下の通り薬剤を散布した。
    6月18日 オーソサイド水和剤80 600倍
    6月22日 トリガード液剤1000倍(土壌灌注)
    6月25日 スタークル顆粒水和剤 1000倍(土壌灌注)
    7月13日 リゾレックス水和剤 500倍(土壌灌注)
    8月18日 スピノエース顆粒水和剤 5000倍、ダコニール1000 1000倍
    9月4日 ベストガード水溶剤 1000倍、フルピカフロアブル 2000倍
    9月15日 フェニックス顆粒水和剤 2000倍、アフェットフロアブル 2000倍

  • 生育期の気象経遇および生育状況

    気象経過について、 気温は、 5~6月は平年よりやや高めに推移したが、7月は降雨日が多かったため平年並み~やや低く推移した。8~9月は平年並み~かなり高く推移した。 積算日照時間は、6月は平年よりやや多く、7月は少なかった。8月の後半はやや多く推移した。

    生育状況について、定植後に大型扇風機を設置し葉先枯れの軽減を図っていたが、6月下旬から7月下旬の連続した降雨と日照不足により、7月下旬〜8月上旬にかけて葉先枯れが多発し、一部では芯止まりになる品種がみられた。7月上旬〜下旬までの明期(8〜17時)の湿度は、屋外で概ね70%以上と高く、葉先枯れが発生しやすい条件であったと推測された。また、7月下旬~8月上旬にかけての高温により、早期に発蕾する品種がみられた。このため、全品種を対象に9月上旬まで花蕾を摘除する処理を行った。

    発蕾日について、最も早い品種では8月4日、最も遅い品種では9月3日に発蕾した。

    聞花日について、最も早い品種では9月16日が開花始期となった。

    審査の様子

    1等特別賞「K488」

  • 閉会および入賞品種の検討

    審査の終了後、福田審査長より山形県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室関係者への御礼と併せ「市場関係者によれば、ユーストマは高値が出ていないとの話も聞かれ、業務需要の減少が影響しているとも考えられる。一方で、一般家庭で花を購入して飾る行動が増えているとも言われており、昨今の社会情勢を受けた消費動同の変化に応じて、品種の構成も変わっていくと思われるため、今回の審査会のような機会を活用しながら開発を進めて頂きたい。」との講評が述べられ、閉会となった。

    参加者の滞在時間を短縮するため、審査を終えた参加者にはそのまま解散して頂き、審査結果は後日、参加者および関係者に通知することとした。

    集計された採点結果をもとに福田審査長と公的審査員ならびに事務周で検討会議を行い、下記の通り入賞結果を確定した。

    審査結果【ユーストマ(秋出しシェード栽培)】(100点満点)

    順位得点等級品種名出品者
    184.251等特K488カネコ種苗㈱
    283.252等SM8-642㈱サカタのタネ
    380.003等SM8-563㈱サカタのタネ
    479.383等F16-343住化農業資材㈱
    578.673等SM7-A-653M㈱サカタのタネ
    678.333等ラフールレッドフラッシュ住化農業資材㈱
  • 審査員内訳

    官公審査員

    ・農研機構 野菜花き研究部門
    ・秋田県農業試験場
    ・福島県農業総合センター
    ・長野県野菜花き試験場
    ・山形県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室日種協

    日種協

    ・花き栄養繁殖性植物部会員
    ・山形県支部会員