4月28 日(火)宮崎県総合農業試験場(宮崎市佐土原町下那珂)にて実施した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて4月7日に政府から緊急事態宣言が発令されたことから、緊急事態宣言対象地域から宮崎県への人の移動を控えるため,県外からの参加はせず、宮崎県内の公的機関や宮崎県支部から募集した審査員のみで審査を行う形式での開催とした。
審査当日の運営方針として感染拡大防止のため①原則として屋外で実施②審査員が密集しないよう間隔に注意して審査を行う③会場での滞在時関は最小限にとどめるといった措置を取りながらの開催となった。
審査会の事前準備や当日の実施運営に際しては農研機構野菜花き研究部門花き追伝育種研究領域の間竜太郎・領域長に審査長をご担当頂き、また日種協花き栄養繁殖性植物部会を代表して藤田和義氏((株)ミヨシグループ)に幹事担当者をお願いして、遠隔での協議を行いながら公正な審査の実施にご協力を頂いた。審査会場では、栽培担当の本田由美子・主任研究員より審査員に対して耕種概要ならびに審査要領の説明があった後に100点満点での採点による審査を実施した。
審査の様子
1等特別賞「パルフェライトブルー」
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耕種概要
栽培場所
宮崎県総合農業試験場内
フッ素フィルム被覆ハウス(単棟、約120㎡)出品品種
15点
栽培規模
1区18株、2区制
播種
2019年11月7日にメトロミックス350Jを入れた200穴セルトレイに播種した。
育苗
播種後7日間は18℃設定の暗黒下の冷蔵庫内で管理した。8日目からはフッ素フィルム被覆温室で管理した。昼温20℃換気、夜温 13℃加温設定で管理し、晴天時には遮光率50%の遮光資材を展張した。
本葉展開後から、OK-F-1を1000倍に希釈して週1回施用した。12月28日、1月2日にはキレート鉄20ppmを葉面散布した。圃場準備
2019年7月16日にバーク堆肥1t/10aを施用し、7月25日に基肥を施用後に畝立てして太陽熱消毒を行った。
定植
2020年1月15日に、幅135cmの畝に20cm×20cmの3マスフラワーネットを利用して中央1マスを空けた2条植えで定植した。
施肥
【基肥】
成分呈換算 N:P:K=10.0:2.2:3.3(kg/10a)
7月25日 園芸複合846
【追肥】
合計成分量換算 N:P:K=2.4:1.2:1.9 (kg/10a) 2月 アミノキッポ(7-3-3) 200倍 2回
2月~4月 OK-F-1 (15-8-17) 1000倍 5回
4月 スミライム(7-3-3) 500倍 2回薬剤散布
定植前に殺菌剤および殺虫剤を2回、定植時に殺菌剤を1回、定植後に殺菌剤および殺虫剤を8回施用した。
管理
灌水は 定植日から1週問後までは手灌水で畝が乾かないように畝全体にたっぶりと灌水した。その後は畝上に設置した2本の点滴チューブを用いて畝の表面が乾いた時に40分程度灌水した。
定植後から昼温20℃換気、夜温13℃加温設定で管理した。
2等「EF18205」
2等「ED-705」
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生育期の気象経過および生育状況
気象経過について、栽培期間中の最高気温は11月下旬で平年並み、12月上旬は平年より1℃程度低かったが、 12月中旬以降は平年より高く推移した。平均気温、最低気温も12月中旬以降は高く推移し、1月下旬の最低気温は平年より5℃も高かった。日照時間は平年と比較して、11月中旬、1月上旬、2月上旬および下旬3月中旬で長かったが、平年に比べて日照時間の短い期間の方が多かった。降水量は、11月下旬、12月下旬、1月下旬、2月中旬、3月上旬の降水量が平年に比べて多く、特に1月下旬は平年に比べかなり多かった。
育苗施設の昼温は、概ね13〜20℃で推移した。日平均気温は11月27日までは15〜20℃で推移し、11月28日以降は13〜18℃で推移した。夜温は概ね13℃で推移したが11月23〜27日は夜温が高く16〜18℃で推移した。
栽培圃場の昼温は、13〜22℃で推移し、3月10日以降は20℃以上になる日が多かった。夜温は概ね13℃で推移したが、3月中旬以降は15〜18℃と夜温が高い日もあった。日平均の気温は、2月10日までは13〜17℃で推移し 2月10日以降は概ね15〜21℃で推移した。
生育の概要について、定植時の本葉の枚数は2〜4枚だった。一部の品種では育苗中に本葉の黄化が目立ち生育のばらつきが見られた。抽苔は最も早い品種で2月下旬から始まり、最も遅い品種では3月下旬に抽苔した。
3月末までに抽苔した株の割合は、ほとんどの品種で100%だったが、最も抽苔の遅い品種ではロゼットした株の割合が高く抽苔株率は61.1%だった。発蕾は、早い品種で3月下旬から始まり、展も遅い1品種を除いてすべての品種で4月24日までに90%以上が発蕾した。
開花は4月下旬から始まり、早い吊種で1ま4月24日までに60%以上の株が開花した。開花の遅い品種では4月24日までに開花がみられなかった。一部の品種では発芽率が低くそのうち定植時に必要な苗が足りなかった品種については2月7日に補植を行った。 -
入賞結果の検討および入賞品種へのコメント
会場で人が密集することを避けるため、審査を終えた参加者はそのまま解散して頂き、審査結果は後日通知することとした。
その後、宮崎県総合農業試験場のご担当者により集計された採点結果を間審査長と日種協幹事担当者ならびに事務局で確認し出品品種の写真と各品種の得点を照合しながら入賞品種の検討が行われ、下記の通り入賞結果を確定した。
審査に参加した公的審査員からは「今回の出品品種の生育をみると開花にばらつきがみられ、一斉収穫のしや すさに課題があるように思われた。そうした中で、入賞した品種については、開花の揃いが良く花色が鮮やかで花穂の幅や草丈がコンパクトにまとまっていた点などが高く評価された。」とのコメントが寄せられた、
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終わりに
今回の審査会は、新型コロナウイルスの発生により緊急事態宣言が発令された状況での栽培管理、また審査会の運営や審査員の確保にご対応を頂いた宮崎県総合農業試験場花き部ご担当者のご尽力により、無事に審査を実施することができた。また黒木支部長をはじめ、宮崎県内からの貴重な審査員としてご参加を頂いた宮崎県支部会員の皆様にも心より御礼を申し上げる。
審査結果【デルフィニウム(春出し)】(100点満点)
順位 得点 等級 品種名 出品者 1 84.83 1等特 パルフェライトブルー (株)ミヨシグループ 2 84.17 2等 ED-705 タキイ種苗(株) 3 82.50 2等 EF18205 カネコ種苗(株) 4 79.33 3等 アズールブルー カネコ種苗(株) 5 78.17 3等 SK5-95 (株)サカタのタネ
それらの品種は入賞から除外した。3等「SK5-95」
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審査員内訳
官公審査員
・宮崎県総合農業試験場
日種協
・宮崎県支部((有)黒木農園、梶田種苗(株))