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e-種や|野菜種、花種と苗の三重興農社

第71回 全日本野菜品種審査会 ダイコン

令和2年1月16日(木)神奈川県農業技術センター三浦半島地区事務所(三浦市初声町)にて実施した。神奈川県ご担当者のご尽力により、平成30年秋に行われたコカブ審査会に引き続き、今回は三浦半島を代表する品目であるダイコンの審査会を実施して頂けることとなった。出品品種は31点と大変多く、日種協会員各社からの注目度の高さが伺える審査会となった。

審査会の開始にあたり、神奈川県農業技術センターを代表して西田周史・所長より開会挨拶があり、続いて日種協技術研究委員会を代表して加治誠・委員(㈱渡辺採種場)より謝辞が述べられた。続いて、農研機構野菜花き研究部門野菜育種ゲノム研究領城の小原隆由・アブラナ科ユニット長を審査長として打合せを行った。

栽培を担当された太田和宏・技師より耕種概要の説明があった後、圃場に移動して立毛100点、収穫物300点、合計400点満点の審査を行った。

審査圃場全景

審査圃場全景

立毛審査の様子

立毛審査の様子

  • 耕種概要

    栽培場所

    神奈川県農業技術センター 三浦半島地区事務所 露地圃場

    土質

    多腐植黒ボク土

    前作

    スーダングラス

    試供品種

    31点

    栽培規模

    1区54株(5.4m2)、2区制

    栽植様式

    畝間50cm、株間20cm、10,000株/10a

    土壌消毒

    8月26日にガスタード微粒剤およびD-Dを処理し、ビニル被覆した。
    9月9日にビニル除去し、ガス抜きのため9月10日および9月17日に耕転した。

    播種

    10月2日(3粒播き)

    施肥

    9月10日
     牛ふん堆肥 1000kg/10a
     顆粒タイニー 100kg/10a
     硫酸マグネシウム 40kg/10a

    9月26日
    基肥
     マイルドキープ 90kg/10a
     ハイマグB重焼燐 26.3kg/10a
     硫酸カリウム 14kg/10a
    11月13日
    追肥
     NK化成2号 37kg/10a
     合計成分量【N:P2O5:K2O = 15:20:22(kg/10a) 】

    薬剤散布

    8月26日ガスタード微粒剤、D-D
    9月26日フオース粒剤
    10月24日ハチハチ乳剤、Zボルドー
    11月7日ダンドツ水溶剤、スピノエース顆粒水溶剤、Zボルドー
    11月26日マラソン乳剤、アミスター20フロアブル
    12月18日マラソン乳剤、アミスター20フロアブル
    1月7日ウララDF、プレバソンフロアブル5、ランマンフロアブル

    管理

    均一栽培のため、6月27日にスーダングラスを播種し、8月19日に植物体全体を抜き取り、圃場外に搬出した。8月19日にプラソイラで心土破砕、8月22日に耕転した。10月21日に間引きを行い1株とした。なお、欠株および発芽後の生育不良株は10月15日、10月21日および11月1日に再播種した。

    審査用ダイコンの収穫作業

    審査用ダイコンの収穫作業

    ダイコンの洗浄作業

    ダイコンの洗浄作業

  • 生育期の気象経過および生育状況

    栽培期間中の平均気温は、11月第5半旬まで高温傾向で推移したが、11月第6半旬以降は気温の変動が激しかった。降水量は10月12日に台閏19号の影響で147.5mm、10月25日に台風21号による影響で57mmのまとまった降雨があった。11月第1〜2半旬にかけて降雨がなかったものの、それ以降は概ね適度な降雨がみられた。日照時間は11月の第1〜4半旬は例年の1.4倍とやや多かったが、10月の第2〜4半旬は例年の4割程度、11月の第5半旬から1月の第2半旬までは例年の8割程度とやや少なかった。

    栽培期間を通して気温は高温傾向で推移し、降水量はやや多く、日照時間はやや少なかった。

    生育状況について、播種後の10月12日に台風19号の襲来を受けたが防風対策を講じたことにより被害はみられなかった。栽培期間中は高温で推移し、適度な降雨もみられたため生育は早かった。薬剤防除を行った結果、病虫害による被害はみられなかった。

  • 結果発表および講評

    審査終了後には、三浦半島地区事務所普及指導課の高橋匠技師より、「三浦半島のダイコン栽培について」といった内容で話題提供があった。

    その後、小原審査長より入賞結果の発表があり、「今回は生育初期に台風の襲来を受けるなど、たいへん厳しい気象条件の中での栽培となったがご担当者の入念管理のおかげにより出品品種のどれもが素晴らしい出来となり、その中でも立毛の揃いが良く小葉で密植に適し、病害の出ていない品種が特に高い評価を受けた。ダイコンは全国的に栽培面積が減少傾向にあるが、三浦地区においては最も重要な品目である。今後も新たな品種の育成を進めて頂き、産地で問題となっている黒斑細菌病や青変症への耐性や、これまで以上に激しくなりつつある気象変動への対応性を高めて頂ければありがたい。」との講評があった。

    審査会の閉会にあたっては、 日種協神奈川県支部を代表して成松次郎氏(神奈川県種苗協同組合)より、不安定な気象条件のもとで栽培管理に携わった神奈川県ご担当者への御礼と合わせ、「今回出品されたどの品種も、それぞれの特性を十分に発揮しており、各社における素晴らしい育種の成果であると思う。今後も、 より一層の育種開発を進めて頂けるようお願いしたい。」との言葉を以て終了した。

    審査結果【ダイコン(冬どり)】(400点満点)

    順位立毛収穫物合計等級品種名出品者
    178.83248.42327.251等特MKS-R151みかど協和㈱
    277.22248.51325.732等サカタ交配 SC4-287㈱サカタのタネ
    377.39245.91323.302等サカタ交配 春の守㈱サカタのタネ
    476.44243.09319.533等松島交配 W4571㈱渡辺採種場
    580.78236.42317.203等タキイ交配 No.4840タキイ種苗㈱
    676.06240.92316.983等ウエキ交配 608横浜植木㈱
    780.39236.42316.813等松永交配 MND-3032松永種苗㈱
    収穫物審査の様子

    収穫物審査の様子

    1等特別賞「MKS-R151」

    1等特別賞「MKS-R151」

  • 審査員内訳

    官公審査員

    ・農研機構 野菜花き研究部門
    ・茨城県農業総合センター園芸研究所
    ・千葉県農林総合研究センター
    ・神奈川県農業技術センター三浦半島地区事務所

    日種協

    ・野菜種子部会員
    ・神奈川県支部会員