このページではダウ・アグロサイエンスが発行する「作物ブックシリーズ」『油菜科ブック』の内容に準拠し、アブラナ科野菜の栽培時に問題となる病害虫についての解説を掲載しております。
生産の助けにご活用ください。
主な作型と病害虫発生パターン
加害部図解(大根・カブ)
※害虫名・病名をクリックしていただくと詳細が表示されます。
害虫や病気がこんなに
たくさんあるんだ・・・
適切な農薬の使用が大切だね
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ハモグリバエ類
ハエ目/ハモグリバエ科 ナモグリバエ Chromatomyia horticola
ナモグリバエ幼虫
- 薬剤
- かぶ他:
- スピノエース顆粒水和剤
- どんなムシ?
- 複数種がアブラナ科作物を加害、大半が広食性
- 葉の被害状況から工カキムシとも呼ばれる
- トマトハモとアシグロは近年海外より侵入、薬剤耐性が強い
- トマトハモは25℃で幼虫期間は4日、蛹の期間は一週間くらい
- 被害出現は急速
- 生態は?
- 暖地・加温施設では越冬休眠しない、寒冷地では主に蛹態(トマトハモ、アシグロは越冬できない)
- 温暖地ではトマトハモ、マメハモは年10回以上発生。ナモグリ(北方系)は夏期に高温抑制を受け世代数はやや少ない
- 産卵は葉肉内に、1雌産卵数は種間・温度・寄主植物で大差(20〜650粒)
- 被害は?
- 展開葉を選んで産卵するため下葉から上葉へ被害が進む
- 幼虫の葉肉内への食害で、葉の表皮下が不規則な線状に食荒らされ白く残る
- 被害葉は商品価値を落とすので除かれる
- 生育期に多寄生すると生育を阻害
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キスジノミハムシ
コウチュウ目/ハムシ科 Phyllotreta striolata
食害中の幼虫
- どんなムシ?
- アブラナ科植物を加害
- 成虫は蚤のようなジャンプカ
- 成虫は長寿(長いと約4ヶ月)で産卵期間も長く、夏期には様々な生育ステージが混在
- 幼虫は根部を加害・ダイコン加害ではナメリ症状が発生
- 暖冬の翌年、梅雨時期に少雨で多発しやすい
- 生態は?
- 成虫態で畑周辺の雑草根際などで越冬
- 暖地で3〜5回、寒冷地で2〜3回発生
- 成虫は早春より活動
- 土中浅くに数粒産卵、1雌産卵数は約150〜200粒
- 幼虫は地中深約10cm以内に生息し土中で蛹化
- 卵〜成虫まで約1ヶ月
- 被害は?
- 成虫は葉を加害葉一面に無数の小さな円形の食痕(約1mm)を残す。食痕は葉の肥大とともに小さな穴があく
- 栽培初期の幼虫による根部加害は生育を阻害
- 根部肥大期以降の加害は、ナメリ症状やサメ肌となり商品価値が損なわれる
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キタネグサレセンチュウ
ハリセンチュウ目/プラティレンクス科 Prarylenchus penetrans
成虫
- 薬剤
- だいこん他:
- テロン
- 旭D-D
- 三洋NCS
- どんなムシ?
- 大多数の作物に寄生
- 名のとおり寒地系の線虫
- 近年、全国的に分布拡大
- 低線虫密度でも根菜類の被害大
- ダイコンの要防除密度は10頭以下/土壌50g(ベルマン法)
- 寄主植物不在でも3年近く生存
- 線虫加害はダイコン萎黄病などの発生を助長
- 生態は?
- 低温下では被害根内や土壌で卵
- 幼虫・成虫態で停止
- 発育適温(20〜25℃)で活動が活発になり、成幼虫が作物根の分泌物質に誘引
- 根表皮に穴を穿ち侵入、内部を食害し移動
- 成虫は根内で産卵(約200粒)
- 成幼虫は根内外を出入し根の損傷が進むと脱出
- 被害は?
- 細根時の被害症状ははっきりしない
- 肥大根に寄生すると、表皮のあちこちの侵入箇所に白色水泡状の斑点が生じる。被害部が古くなると褐変〜黒変し黒ごま状になる
- 白斑点、褐色〜黒斑点が目立っと商品価値に影響
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だいこん萎黄病
糸状菌 Fusarium oxysporum
被害株
- どんな病気?
- ダイコン、カブなどを侵す
- ダイコンの連作障害重要病害
- 腐生性が強く寄主作物不在でも増殖
- 不良環境では厚膜胞子で2年以上生存
- 土壌深50cm以上にも分布
- は種時期25℃以上の作型で発生多
- 線虫が感染を助長
- 生態は?
- 菌糸・分生子・厚膜胞子で越冬、有機物に富む土壌で菌密度が高い
- 寄生作物の根に反応し厚膜胞子、分生子が発芽、菌糸で細胞間隙より侵入
- 発病の最適地温26〜29℃(10℃以下/35℃以上では発病なし
- 導管内に菌糸蔓延、形成させれた分生子が離脱転流し他部所に感染
- 被害は?
- 間引き時より発症、生育初期に発病すると茎葉は青枯状のまま枯死
- 生育中期以降は葉が黄化
- 葉や株の片側だけに症状が現れることが多く奇形化する
- 進展すると下葉から上葉に黄変や萎れが広がり枯死
- 罹病株の根部は光沢が劣り、輪切りにすると導管部周辺が黒〜茶褐色に変色
- こちらもご参考ください →
- だいこん 病害虫 防除薬剤 参考表
加害部図解(キャベツ等)
※害虫名・病名をクリックしていただくと詳細が表示されます。
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コナガ
チョウ目/ヤガ科 Plutella xylostella
食害中の幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ファルコンエースフロアプル
- ファルコンフロアブル
- どんなムシ?
- アブラナ科植物にのみ寄生
- 1960年代よりキャべツの栽培規模拡大と周年栽培に伴い大害虫化
- 世界的に薬剤抵抗性が問題視される害虫
- 海外では成虫の長距離移動が知られる
- 生態は?
- 暖地〜温帯では幼虫や蛹で越冬、積雪地域では冬期に死滅
- 発育零点:7~10℃、発育期間〔卵・幼虫(4齢まで)蛹・成虫〕:約23日/20℃、約16日/25℃、30℃以上では生存率低下
- 産卵は葉脈脇などに1〜数個、1雌当り約100~300粒産卵
- 1齢幼虫は葉肉内に食入、2齢以降は葉裏から表皮の薄皮を残し食害
- 蛹は糸を粗くレース状に綴った繭に包まれる
- 被害は?
- 葉裏からの食害により葉表に薄皮が白く透けた小さなパッチ状の痕が残り、葉の伸長とともに穴あきとなる
- 定植後〜結球前は中心葉が加害されやすく、生育が抑制される
- 結球後は少発生なら結球内に食害が及ぶことは少ない
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ハスモンヨトウ
チョウ目/ヤガ科 Spodoptera littura
食害中の幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ファルコンエースフロアプル
- ファルコンフロアブル
- どんなムシ?
- 80作物以上に加害報告
- 関東以西で常発、東北でも年によって発生
- 施設栽培の普及で発生地域拡大
- 春s期は低密度で盛夏〜秋に発生が急増
- 高温・少雨で多発しやすい
- 幼虫の体色は変異に畠む(頭部後方の2黒斑で識別)
- 生態は?
- 南方系害虫で冬眠がなく耐寒性は弱い
- 年4〜6回発生
- 葉裏に鱗毛でおおった卵塊(数十〜数百粒)を産下、1雌の産卵数は1,000~3,000粒
- 孵化〜若齢幼虫は集団生活する
- 中齢で幼虫は分散、成長とともに夜行性が強まる
- 発育期間〔卵・幼虫(6齢まで)・蛹・成虫〕:約35日/25℃、約26日/30℃(食草で変わる)
- 地中に浅く潜り蛹化
- 被害は?
- アブラナ科作物の被害は初秋頃から発生
- 若齢幼虫は集団で葉裏を食害、葉表は表皮が透け白いカスリ状に見える
- 若齢幼虫は新芽を好み苗での被害は大きい
- 老齢幼虫(5〜6齢)は生涯摂食量の97%以上を食害、葉脈・葉柄を残し暴食、薬剤耐性が増す
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ヨトウガ(ヨトウムシ)
チョウ目/ヤガ科 Mamestra brassicae
上:3齢幼虫 下:5齢幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ファルコンエースフロアプル
- ファルコンフロアブル
- ランネート45DF
- どんなムシ?
- 食性で稲を除く100作物以上を加害
- アジア~ヨーロッパの温帯に広く分布
- 夜盗虫の名の通り成熟幼虫は夜行性
- 収穫や加害で餌不足になると隣接畑に集団移動することもある
- 幼虫の体色は3齢幼虫までは緑色、4齢幼虫以降は茶褐色
- 生態は?
- 土中で蛹態で越冬
- 年2回発生(一部3回)
- 産卵は葉裏に卵塊(数十〜数百粒)を産下。1雌の産卵数は約2,000粒
- 若齢幼虫は集団で摂食、中齢で分散、成熟幼虫は日中は土中などに潜み夜間に活動
- 春発生では幼虫期(6齢まで)は約1ヶ月程度、土中に蛹で夏眠(北日本では夏眠しない)
- 次世代成虫は関東以西で9月以降に、寒冷地では7〜9月に出現し、産卵
- 被害は?
- 幼虫の加害はハスモンヨトウと酷似
- 外葉の一部が白っほくスカシ状になり、葉裏をみると5mm程の幼虫が群生
- 結球株にも食入
- 隣接の収穫畑などからの侵入に注意
- 成熟幼虫は薬剤耐性が増すとともに、日中姿を隠し直接薬剤がかからないため防除が難しい
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モンシロチョウ
チョウ目/ヤガ科 Pieris rapae
3齢幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ファルコンエースフロアプル
- ファルコンフロアブル
- どんなムシ?
- 幼虫はアオムシと呼ばれる
- アブラナ科と一部の植物が寄主植物
- 近縁種にスジグロシロチョウがおり分布や食性が重なるが、林など日陰を好んで生息
- 寄生蜂などの天敵が密度抑制に大きく寄与すると考えられる
- 生態は?
- 晩秋に終齢幼虫が樹幹や建物のすき間で蛹で越冬
- 菜種の花が咲く頃より成虫が出現
- 暖地では年7〜8回、寒地では年2〜3回発生
- 産卵は日中に葉の表裏に1卵ずつ。1雌の産卵数は約100〜200粒・生育期間〔卵・幼虫(6齢まで)・蛹・成虫〕:約25日/20℃
- 天敵ではアオムシコマユバチ(寄生蜂)が代表的で、黄色い繭が幼虫に多数取り付いているのが見られる
- 被害は?
- 成虫の発生量が多い場合には要注意
- 若齢幼虫の食痕はコナガの被害と紛らわしい場合がある
- 5〜6齢幼虫では食害量が増大し、葉を葉脈を残して食い尽くす
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ハイマダラノメイガ
チョウ目/ヤガ科 Hellula undalis
加害中の幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ファルコンエースフロアプル
- ファルコンフロアブル
- ランネート45DF
- どんなムシ?
- アブラナ科と風蝶草が寄主植物
- 暖地系で8月以降に発生急増
- 夏期に猛暑・少雨で多発しやすい
- 過去は秋ダイコンの最難防除害虫でダイコンシンクイムシの別名がある
- 関東以西で発生が多いが東日本でも被害が増えつつある
- 生態は?
- 休眠性がなく幼虫・蛹で越冬するが、生存率は低い
- 西日本では年6〜8回発生
- 新芽や若い葉に1〜数粒すっ産卵、1雌産卵数は約100〜200粒
- 孵化幼虫は新芽や葉肉内部に食入
- 2齢後期からは葉表にも姿を現わす
- 中心葉や葉縁を綴り内側を食害、葉柄内にも食入
- 発育期間〔卵・幼虫(齢まで)・蛹〕:約22日/25℃
- 株元地表や食害部付近で蛹化
- 被害は?
- 定植前の苗の加害は生育停止・枯死に及ぶ
- 定植後の中心葉への加害で、生育が阻害され脇芽が発生、正常に結球しなくなる
- 生育中期以降は葉柄内への食入が増え、虫糞が排出、葉柄は垂れ下がったり折れが生じる
- 被害発生は7月始め〜10月末頃が多く、その前後は少ない
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オオタバコガ
チョウ目/ヤガ科 Helicoverpa rnigera
幼虫
- 薬剤
- ファルコンフロアブル
- どんなムシ?
- キャベツ・レタスはじめ多くの果菜類や花卉類を加害
- 土着害虫だが1994年に大発生し各種殺虫剤に耐性を示し問題となってから、被害地域・作物ともに拡大
- 高温性害虫だが夏期に北日本で発生することも
- 生態は?
- 蛹で越冬、温暖地以外では生存は難しい
- 年3〜5回発生、8月以降に発生が高まる
- 茎葉上部や蕾に1粒ずつ産卵。1雌の産卵数は約2,000粒
- 発育零点(幼虫):13.2℃、生育期間〔卵・幼虫(5~6齢)・蛹〕:約36日/25℃
- 孵化〜2齢幼虫は外葉を食害、3齢期を過きると結球部にも食入
- 成熟幼虫は浅い土中で蛹化
- 被害は?
- 8月中旬以降定植の作型で特に被害を受ける
- 幼虫は外葉・結球部ともに加害、盛んに移動し食い歩く
- 結球前に成長点が加害されると結球できない
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タマナギンウワバ
チョウ目/ヤガ科 Autographa nigrisigna
幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ファルコンエースフロアプル
- ファルコンフロアブル
- ランネート45DF
- どんなムシ?
- アブラナ科作物の他に二ンジン・レタス等を加害
- 冷涼な気候条件への適応性が高い
- 恒常的に発生するが大発生は稀
- 幼虫は腹脚が2対で尺取歩き
- 近年、近縁のイラクサギンウワバが発生している
- 生態は?
- 休眠性がなく寒冷地では成虫や蛹で、暖地では各発育態で越冬
- 年3~5回発生
- 産卵は中〜下葉の葉裏に1粒ずつ
- 発育零点は8℃、生育期間(25℃)は卵4日、幼虫(5齢まで)13. 2日、蛹7.6日
- 葉裏に粗くて白い繭をつくり蛹化
- 分布拡大の傾向
- 被害は?
- 幼虫は厚手外葉を好んで食害・若齢幼虫は葉裏を食害、葉表に表皮が白く透けた小さな食害痕が点々と現れる
- 中齢幼虫以降は食害量が増大、大きな葉脈を残し葉を食い破る
- 本種と酷似するイラクサギンウワバは、一部の有機りん剤や脱皮阻害剤に感受性が低い事例がある
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アブラムシ類
カメムシ目/アブラムシ科 Aphis sp.
上:モモアカアブラムシ
中:ダイコンアブラムシ
下:ニセダイコンアブラムシ- 薬剤
- トランスフォームフロアプル
- ランネート45DF
- どんなムシ?
- アブラナ科作物では主にモモアカアブラムシ、ダイコンアブラムシ、二セダイコンアブラムシの3種が発生
- 単為生殖により短期間で大コロ二一を形成
- ウイルス病の媒介も問題となる
- 生態は?
- <モモアカ>
- 終年発生するが特に冬期の発生が多い
- 体色は緑やピンクなど変異に富む
- <ダイコン >
- 主に春期に発生
- 体全体が灰白色粉で覆われている
- キャベツなど厚く光沢のある葉に発生が多い
- <二セダイコン>
- 秋〜春に発生が多い
- 体表は薄く白粉で覆われている
- はくさいやダイコンなど薄い葉に発生が多い
- 被害は?
- 集団で葉・茎・花梗に密集し汁液を吸収
- 寄生葉は萎縮・黄変が生じ、激しい場合には株が枯死・排泄物が罹った茎葉はススが発生
- 各種モザイク病を媒介(虫・病原ウイルス・感染作物の関係はそれぞれ)
- モモアカでは複数の系統の薬剤に抵抗性発達事例がある
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はくさい白斑病
糸状菌 Cospora brassicae
葉の病斑
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- どんな病気?
- カブ・ダイコンの白斑病はPseudocecospora capsellaeによるアブラナ科作物を侵す
- ハクサイではべと病とならび重要病害(べと病との併発も)
- 晩秋から初冬が多雨で多発、泥はねが感染の主因
- 連作、窒素肥料切れ、酸性土壌が発生を招く
- 品種で耐病性に違い(長崎はくさい、野崎はくさいは弱い)
- 感染は?
- 前作の被害葉に菌糸/菌糸塊で越年
- 好適な気候になると地際部の葉で発病
- 葉裏に多数の分生胞子を形成し雨滴や風で近辺に伝染
- 感染距離はかなり短い
- 侵入後3〜15日で発病
- 外葉から順次上部葉に感染
- 発生時期は黒斑病とほぼ同様
- 症状・被害は?
- 感染初期は古葉に灰白色の小斑点を生じる
- 拡大すると類円形〜多角形の6〜10mmの病斑を形成
- 病斑の中心部が灰白色の乾いた紙のようになり、周辺部は緑灰色水浸状に
- 激発時には葉全体が火で炙られたようになり、縮れて枯死する
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はくさい黒斑病
糸状菌 Alternaria japonica Alternaria brassicae Alternaria brassicicola
葉の病斑
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- どんな病気?
- 3種のアルタナリア菌が関与(ダイコンの黒斑病も同様)
- キャベツでは、A.brassicaeが黒斑病、A.brassicicolaが黒すす病の病原菌となる
- 空気伝染で伝播し種子伝染も起こす
- 生育後期の肥料切れが発生を助長する
- 感染は?
- 土中の作物残渣内で菌糸や分生胞子で越冬
- 下葉より発生
- 病斑上に分生胞子を多数形成し風雨飛散で空気感染
- 15~27℃で発病(生育適温23〜25℃)、多雨で助長
- 春期の被害は少なくトンネル掛けで発生しやすい
- 秋作では結球期〜収穫期に発生し問題に
- 症状・被害は?
- 初期は葉に2〜3mmの淡褐色の円形病斑が生じる
- 病斑は約1cmに拡大、内側は乾固して輪紋状を示し周囲は油浸状となる
- 収穫時に上部葉に発生すると商品価値が低下
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はくさいべと病
糸状菌 Alternaria japonica, Alternaria brassicae, Alternaria brassicicola
葉の病斑
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- ゾーベックェニケード
- ゾーベックエンカンティア
- どんな病気?
- アブラナ科に感染するべと病菌には複数系統あり、それぞれ寄生性が異なる
- 活物寄生菌のため生きた植物組織上でのみ生活
- 低温・多湿下で発生、通風や透光の悪さで発生助長
- セル苗育苗期にも発生し問題に
- 感染は?
- 発病株組織内で卵胞子と菌糸で越年
- 翌春、病斑上に分生子梗を形成、分生子が飛散し感染
- 分生子は水滴中で盛んに発芽し(適温7~13℃)細胞縫合部や気孔より侵入
- 病斑を形成すると葉裏側の気孔より分生子梗が抽出、多くの分生子が着生し第二次感染源に
- 症状・被害は?
- 初期は下葉に淡黄色で不定形の斑紋ができ裏側に白カビが密生
- 葉表病斑は葉脈で区切られた淡黄〜淡褐色の多角形が融合しパッチ状に拡大
- 被害進展により上葉にも感染し下葉から枯れ上がる
- 茎べと症状では、糸状の黒点症状から墨が入ったように変わり、やがて陥没
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はくさい軟腐病
細菌 Pectobacterium carotovorum
細菌
- 薬剤
- コサイド3000
- どんな病気?
- 寄主植物が多岐にわたり畑や雑草地の根圏土壌中に偏在
- 傷口や気孔・水孔より侵入、害虫や農作業による傷も感染を介在
- 植物体内で分解酵素を分泌、細胞膜・壁を溶解し軟化腐敗を起こす
- 多雨・高温で発病しやすく台風・豪雨後に蔓延しやすい
- ハクサイは結球初期に感染しやすい
- 感染は?
- 作付けられると根周辺で増殖
- 汚染土壌が風雨で飛散し作物に付着
- 特に中肋表面でよく増殖し、感染量に達すると近辺の傷口・気孔等より侵入
- 柔組織内で増殖すると導管を伝わり他部位に移行・適温23〜30℃
- 腐敗した病斑より細菌が溢出してさらに飛散し感染拡大
- 症状・被害は?
- 初期は水浸状の斑点が葉・葉柄に生じる
- 発病部位は灰褐色になり不定形に拡大し軟化して悪臭を発する
- 進展が早く結球前に感染すると株全体が腐敗し消失することも
- 感染した玉は収穫後も症状が進行
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はくさい根こぶ病
原生生物 Plasmodiophora brassicae
根の病斑
- 薬剤
- 三洋NCS
- どんな病気?
- ハクサイほかアブラナ科植物を侵す
- 不良環境下では休眠胞子で7〜10年以上も土壌で生存
- 地温20℃前後で発生、長日照が感染を助長するとされる
- 酸性土壌(pH6.0以下)を好む
- 水流で分散し排水不良地で蔓延しやすい
- 「CR」が名前に付いた品種は根こぶ病抵抗性
- 感染は?
- 休眠胞子が腐敗根周辺に存在(地下40cmでも見られる)
- 寄主植物の根が近づくと胞子発芽
- 粘菌状アメーバ(第1遊走子)が土壌水内を移動し根毛内に侵入
- 根毛内で増殖後、遊走子が再び放出され主根・側根の皮層細胞に侵入
- 柔組織細胞で増殖し異常分裂誘発で、こぶ化
- 症状・被害は?
- 地際周辺の根に大小のこぶが多数でき根の生長が阻害される
- 定植後しばらく経過後に株全体の生気が衰え、日中には葉がしおれ朝方に回復する症状が現れる
- 生育の衰えが結球に影響
- 被害根はやがて褐変し細菌の二次寄生で腐敗、悪臭を放つことがある
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はくさい黄化病
糸状菌 Verticollium dahliae
被害株
- 薬剤
- 三洋NCS
- どんな病気?
- 本種はダイコン、キャベツなど主にアブラナ科植物に感染
- 病原菌は土壌深く(地下90cmでも確認)まで分布、微小菌核や休眠菌糸は2年程度生存できる
- 20~25℃が発病適温
- アルカリ土壌、多湿土壌で発生しやすく、線虫が感染を助長
- ハクサイでは種子感染も
- 感染は?
- 被害残渣が腐敗し土中に混入した微小菌核が越冬
- 地温20℃前後で根の接近があると菌核が発芽し菌糸で内部に侵入
- 導管内に達すると菌糸が増殖し分生子を形成
- 分生子は導管流で株内に拡散、導管内で菌糸が増殖
- 作物の衰弱・老化につれ増殖は停止し微小菌核を形成
- 症状・被害は?
- 結球期以降に症状発現
- 期は外葉にしおれや黄化(先端部のV字型症状が特徴的)が生じる
- 外観で判りにくい場合、根部を切断すると導管部が茶褐色〜黒褐色に変色
- その後の症状進行は早く数日後には結球葉まで黄変、しおれて外側に開き、重症株では葉ボタン状になる
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キャベツパーティシリウム萎凋病
糸状菌 Verticollium longisporum, Verticollium dahliae
上:外部病斑
下:根~茎の断面- 薬剤
- 三洋NCS
- どんな病気?
- キャベツではバーティシリウム属菌2種が混在している場合が多い
- 生育良好で結球部肥大が良い株ほど被害程度が大きい傾向がある
- 感染は?
- 被害残渣が腐敗し土中に混入した微小菌核が越冬
- 地温20℃前後で根の接近があると菌核が発芽し菌糸で内部に侵入
- 導管内に達すると菌糸が増殖し分生子を形成
- 分生子は導管流で株内に拡散、導管内で菌糸が増殖
- 作物の衰弱・老化につれ増殖は停止し微小菌核を形成
- 症状・被害は?
- 結球前に発症すると葉が萎凋し結球不良を起こす
- 結球後発症すると外葉が順次退緑・黄化、やがて褐変枯死する(ハクサイのように結球部までには及ばない)
- 葉脈が黒褐色の網目模様を呈する
- 維管束は褐変する
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キャベツ菌核病
糸状菌 Sclerotinia sclerotiorum
被害株
- どんな病気?
- 多犯性で広範な果菜類や葉菜類に感染
- 耐久器官としてネズミの糞に似た黒い菌核をつくる(地表近くでは2年程度生存)
- 子のう盤(キノコ、直径2〜8mm)より飛散する胞子から感染、ハクサイ・キャベツでは菌核から菌糸が直接伸びて感染も
- 春秋のやや冷涼期に発生、曇雨天が助長
- 感染は?
- 土中の菌核は数カ月休眠し越冬・越夏
- 休眠後、菌核上に複数の子のう盤が裸出(最適温度:15~16℃)
- 8個の子のう胞子が子のう内に形成され飛散
- 植物上で胞子発芽し菌糸で傷口や衰弱箇所から侵入
- 病斑上で菌糸塊が固まり菌核を形成
- 症状・被害は?
- 初期は地際付近の葉柄や葉に淡褐色で水浸状の病斑が現れる
- 拡大した病斑部はやや凹み飴色に変色し軟化腐敗
- 結球株の表面被害葉をはがすと白色綿状に密生した菌糸と黒色の菌核が見られる
- 軟腐病のような悪臭は生じない
- こちらもご参考ください →
- キャベツ 病害虫 防除薬剤 参考表
はくさい 病害虫 防除薬剤 参考表
農薬使用の際は、登録内容をご確認の上、登録使用基準を厳守してください。
医薬用外毒、劇物は、取扱いしておりません。